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Channel: 二木紘三のうた物語
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折鶴

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(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:安井かずみ、作曲:浜 圭介、唄:千葉紘子

1 誰が教えて くれたのか
  忘れたけれど 折鶴を
  無邪気だったあの頃 今は願いごと
  折ってたたんで 裏がえし
  まだおぼえてた 折鶴を
  今あの人の胸にとばす 夕暮れどき
  「わたしは待っています」と伝えて
  いつでも きれいな夢を
  いろんなことが あるけれど
  それは誰でも そうだけど
  悔いのない青春を 詩(うた)って歩きたい

2 誰に教ったわけじゃなく
  忘れられない面影を
  これが恋と気づいた そよ風の季節
  会って別れて 会いたくて
  白い指先 折鶴に
  人に言えない想い 託す夕暮れどき
  「わたしは大好きです」と伝えて
  小さな夢が 燃えてる
  泣いて笑って 明日(あした)また
  それはいつでも そうだけど
  青い空の心で あなたを愛したい

《蛇足》昭和47年(1972)8月25日発売。オリコンチャートで最高9位までいきました。

 千葉紘子には、ほかに『宗谷岬』というヒット曲があります。こちらは、発売当初はあまり注目されませんでしたが、じりじりと人気を上げて、今では北海道をテーマとしたフォーク系スタンダードナンバーの1つになっています。

 それにしても、「待つ」というのは、女性の宿命なのでしょうか。洋の東西を問わず、去っていった人、あるいは帰らぬ人を待つ女性をテーマとした歌はいくつもあります。

 『池上線』では「待っていますとつぶやいたら/突然抱いてくれたわ」、『北の旅人』では「いまでもあなたを待ってると/いとしいおまえの呼ぶ声が」、『ソルヴェイグの歌』では「きみが帰りをただわれは/ただわれは誓いしままに待ちわぶる」といったふうです。

 恋人ではありませんが、『帰らぬひとを…』では、出征した夫を「帰らぬ人を待ち今日も暮れる/帰らぬ人を待ち窓辺に寄る/帰らぬ人を待ちひとりで泣く」と待ち続ける妻が歌われ、『ロンドンデリーの歌(の最もよく歌われる歌詞)ダニー・ボーイ』では、たぶん戦争のために帰れない息子を待ち続ける母親がテーマになっています。

 男が女(母親も含めて)を待たせている理由はさまざまで、それによって女性の辛さ・悲しさも変わってきます。『折鶴』の女性が待たされている理由はわかりませんが、彼を振り向かせたい思いがひたひたと伝わってきて、愁いよりむしろ爽やかさのほうが強く感じられます。

(二木紘三)


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