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1 誰が教えて くれたのか |
《蛇足》昭和47年(1972)8月25日発売。オリコンチャートで最高9位までいきました。
千葉紘子には、ほかに『宗谷岬』というヒット曲があります。こちらは、発売当初はあまり注目されませんでしたが、じりじりと人気を上げて、今では北海道をテーマとしたフォーク系スタンダードナンバーの1つになっています。
それにしても、「待つ」というのは、女性の宿命なのでしょうか。洋の東西を問わず、去っていった人、あるいは帰らぬ人を待つ女性をテーマとした歌はいくつもあります。
『池上線』では「待っていますとつぶやいたら/突然抱いてくれたわ」、『北の旅人』では「いまでもあなたを待ってると/いとしいおまえの呼ぶ声が」、『ソルヴェイグの歌』では「きみが帰りをただわれは/ただわれは誓いしままに待ちわぶる」といったふうです。
恋人ではありませんが、『帰らぬひとを…』では、出征した夫を「帰らぬ人を待ち今日も暮れる/帰らぬ人を待ち窓辺に寄る/帰らぬ人を待ちひとりで泣く」と待ち続ける妻が歌われ、『ロンドンデリーの歌』(の最もよく歌われる歌詞)や『ダニー・ボーイ』では、たぶん戦争のために帰れない息子を待ち続ける母親がテーマになっています。
男が女(母親も含めて)を待たせている理由はさまざまで、それによって女性の辛さ・悲しさも変わってきます。『折鶴』の女性が待たされている理由はわかりませんが、彼を振り向かせたい思いがひたひたと伝わってきて、愁いよりむしろ爽やかさのほうが強く感じられます。
(二木紘三)