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1 あなたひとりに かけた恋 |
《蛇足》昭和44年(1969年)2月発売。
長崎のクラブ・バンドだった内山田洋とクールファイブが、メイン・ヴォーカルに前川清を迎えて放った大ヒット曲。
過去約半世紀にリリースされた長崎を舞台とした歌謡曲で、大半の人がまず思い浮かべるのはこの曲でしょう。
長崎と雨を歌った歌謡曲はかなり多く、戦前では『長崎物語』の「阿蘭陀(オランダ)屋敷に雨が降る」、戦後では『雨のオランダ坂』の「こぬか雨ふる港の町の」や、『思案橋ブルース』の「雨に打たれてながれたふたつの心は」、『長崎の夜はむらさき』の「雨にしめった賛美歌の」などがあります。
そうした「長崎と雨」のイメージを決定的に全国に広めたのは、この『長崎は今日も雨だった』といって過言ではないでしょう。
そこで、実際に長崎は雨が多いかどうか調べてみました。
平成22年(2010)の都道府県別年間降水量を見ると、長崎県は12位です。年間降水量は1858mmで、全国平均値の1611mmよりは多いですが、それほどの差ではありません(気象庁調べ)。
考えてみると、雨を歌ったヒット曲は、東京・大阪などほかの地域にもあります。にもかかわらず、長崎と雨のイメージがリンクされたのは、長崎を舞台とした曲のうち、歌詞に雨を取り入れた曲がヒットする比率が他の地域より高かったことによるのでしょう。
(二木紘三)