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1 ねんねこしゃっしゃりませ |
《蛇足》1番の「起きて泣く子の……つらにくさ」を見ると、子守娘の心情を歌った守り子唄(『五木の子守唄』参照)のようにも思えますが、2番・3番の歌詞から、子どもの幸せを願う親心を歌った子守唄だとわかります。
原曲は岡山県井原市高屋町あたりで歌い継がれてきた子守唄だとされています。この地に生まれ育った声楽家の上野耐之(うえの・たいし)が幼時に母親が歌ってくれた子守唄を、師事した山田耕筰の前で歌ったところ、心を動かされた山田耕筰がすぐに独唱曲に仕上げたと伝えられています。発表は昭和3年(1928)4月4日(異説あり)。
上野が歌った歌詞は、現在歌われているのと若干違い、次のようなものでした。
ねんねこしゃっしゃりませ 寝た子のかわいさ
起きて泣く子の ネンコロロン つらにくさ
ねんねんころいちや 今日は二十五日さ
あすはこの子の ネンコロロン 宮参り
ネンコロロン ネンコロロン
宮へ参ったときゃ なんというて拝むさ
一生この子の ねんころろん まめなよに
ネンコロロン ネンコロロン
まめになったら 絵馬買うてあげましょ
絵馬はなに絵馬 武士絵馬あげましょ
ネンコロロン ネンコロロン
また、メロディも、上野の母親がキリスト教徒だったためか、近隣の家で歌われていたのとは少し異なり、讃美歌の影響を受けたものだったようです。
(二木紘三)