(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo
1 ひとり酒場で 飲む酒は |
《蛇足》昭和41年(1966)6月10日に発売。
別の歌手のために作られた曲でしたが、さっぱり売れず、その後何人かの歌手がカバーしたものの、ヒットすることなく終わりました。
美空ひばりは、カバー曲だと知らされずに歌ったそうですが、発売後すぐ売れ出し、145万枚を売り上げる大ヒットとなりました。『柔』『川の流れのように』と並ぶ、美空ひばりの代表曲です。
昭和41年の発売時には、セリフはありませんでしたが、昭和42年(1967)3月、コンパクト盤『美空ひばりの悲しい酒』に収録された際に、セリフが入れられました。だれのアイデアだったのでしょうか。
古賀政男作曲の失恋歌であることから、『影を慕いて』の戦後版といわれましたが、私には、同じ古賀政男の『酒は涙か溜息か』の戦後版のように思われます。『影を慕いて』には、酒は出てきませんしね。
近年は、若い女性が、グループではもちろん、ひとりで酒場に行くのも普通になったそうですが、昭和40年代には、ひとりで行く女性はまだ少なかったのではないでしょうか。
このころ、私は盛んに飲んでいたので、ひとりで飲んでいる若い女性を見ると、(何かよほど辛いことがあったんだろうなあ)と想像を巡らしたものでした。
酒と縁が切れてから、20年ほどになります。父は酒が一滴も飲めませんでした。その体質を受け継いで、私も弱いくせにやたら飲んでいたので、ほぼアル中といった状態になってしまいました。仕事にも差し障りが出るようになったので、これはヤバイと思って止めたのです。何度も元に戻ってしまい、自己嫌悪に陥りました。
酒でさえ、止めるのにあんなに辛い思いをするのに、薬物だったら、どんなに大変だろうと思います。K君、がんばってね。
(二木紘三)