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Channel: 二木紘三のうた物語
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錆びたナイフ

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(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:萩原四朗、作曲:上原賢六、唄:石原裕次郎

1 砂山の砂を 指で掘ってたら
  まっかに錆びた
  ジャックナイフが 出て来たよ
  どこのどいつが 埋(うず)めたか
  胸にじんとくる 小島の秋だ

2 薄情な女(やつ)を 思い切ろうと
  ここまで来たか
  男泣きした マドロスが
  恋のなきがら 埋めたか
  そんな気がする 小島の磯だ

3 海鳴りはしても 何も言わない
  まっかに錆びた
  ジャックナイフが いとしいよ
  俺もここまで 泣きに来た
  同じおもいの 旅路の果てだ

《蛇足》昭和32年(1957)にテイチクから発売されて大ヒットしました。レコードでは184万枚の売り上げ。

 翌年、この歌を下敷きにして日活が同名の映画を制作。石原慎太郎原作のアクション映画で、主演の裕次郎のほか、北原三枝、白木マリ、宍戸錠、小林旭などが出演しました。
 小林旭がまだ脇役なのが注目されます。小林旭が脚光を浴びるのは、昭和34年
(1959)公開の映画『南国土佐を後にして』から。これが『渡り鳥シリーズ』へとつながります。

 作詞の萩原四朗、作曲の上原賢六のコンビは、裕次郎の歌を20曲あまり作っていますが、大ヒットしたのは、『錆びたナイフ』のほか、昭和37年(1962)の『赤いハンカチ』、昭和38年(1963)の『夕陽の丘』ぐらい。
 中ヒットや小ヒットなら、いくつもあります。『こぼれ花』『白い浮雲』『雪国の町』などはいい歌だと思いますが、大ヒットにはなりませんでした。

 ジャックナイフは折りたたみナイフのこと。人を殺せる大型のナイフから、昔懐かしい肥後守まで、いろいろな種類があります。

 それにしても、失恋すると、人はなぜ寂しいところに行きたくなるのでしょうか。

(二木紘三)


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