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作詞:藤田まさと、作曲:阿部武雄、唄:上原 敏
1 男命を みすじの糸に |
《蛇足》昭和12年(1937)に封切られた松竹作品『流転』の主題歌として作られました。『妻恋(つまこい)道中』などと並ぶ上原敏の代表作。戦後、赤木圭一郎がカヴァーしています。
映画は、井上靖の原作に基づいて松竹の下加茂撮影所で制作された時代劇。
天保年間、『勧進帳』で使う曲の変更を巡って市川海老蔵と対立した三味線弾き・新二郎が出奔、旅芸人・お秋の養父を殺してしまったのが原因でやくざに身を落とすが、三味線演奏が忘れられず、江戸に戻る……といった、芸談と股旅物をミックスしたような内容。
第一部『炎』、第二部『星』が相次いで公開されました。
昭和31年(1956)に、高田浩吉主演でリメイクされています。
原作は、『サンデー毎日』が昭和11年(1936)に募集した懸賞小説に、当時30歳だった井上靖が応募して当選した小説。井上靖の自伝的三部作『しろばんば』『夏草冬濤』『北の海』の大ファンである私としては、彼がこの種の小説を書いていたとは意外でしたね。まあ、井上靖の才能の広さを示すものといってよいでしょう。
1番の二十一はサイコロの目、1~6の合計。二十一だから、九九を使って三七としゃれたわけです。「命を懸ける」と「数字を掛ける」の語呂合わせにもなっています。
(二木紘三)