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Channel: 二木紘三のうた物語
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輝くひとみ

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(C)Arranged by FUTATSUGI Kozo


作詞:J. E. Carpenter、作曲:W. T. Wrighton、日本語詞:龍田和夫

1 相見るまでの 遠き別れぞ
  今宵夢見し わが胸燃ゆる
  きみが言葉を 風よ送れや
  月の浜辺に きみが微笑み
  きみが言葉を 風よ送れや
  月の浜辺に きみが微笑み

2 あかつき染むる 波の彼方に
  きみが姿は 星と輝く
  まなこ閉ずれば 甘き夢見つ
  まなこ開ければ きみが微笑み
  まなこ閉ずれば 甘き夢見つ
  まなこ開ければ きみが微笑み

 Her Bright Smile Haunts Me Still

1. 'Tis years since last we met,
   And we may not meet again.
   I have struggled to forget
   But the struggle was in vain.
   For her voice lives on the breeze,
   And her spirit comes at will,
   In the midnight on the seas,
   Her bright smile haunts me still.
   For her voice lives on the breeze
   And her spirit comes at will.
   In the midnight on the seas
   Her bright smile haunts me still.

2. At the first sweet dawn of light,
   When I gaze upon the deep,
   Her form still greets my sight
   While the stars their vigils keep.
   When I close mine aching eyes,
   Sweet dreams my senses fill,
   And from sleep when I arise
   Her bright smile haunts me still.
   When I close mine aching eyes,
   Sweet dreams my senses fill,
   And from sleep when I arise
   Her bright smile haunts me still.

3. I have sailed 'neath alien skies,
   I have trod the desert path,
   I have seen the storm arise
   Like a giant in his wrath.
   Every danger I have known
   That a reckless life can fill,
   Yet her presence is not flown,
   Her bright smile haunts me still.
   Every danger I have known
   That a reckless life can fill,
   Yet her presence is not flown,
   Her bright smile haunts me still.

《蛇足》イギリスの劇作家で作曲家のJ. E. カーペンター(Joseph Edwards Carpenter 1813-1885)の詞に、W. T. ライトン(William Thomas Wrighton 1816-1880)が曲をつけたもの。

 カーペンターは多数のミュージカルのほか、ヘンリー・ビショップやスティーヴン・グローヴァーなどの作曲家と組んで、2500曲にのぼる歌を作っています。

 『輝く瞳』は、失恋なのか死別なのかはわかりませんが、とにかく去っていった恋人の輝くような微笑みがどうしても忘れらない、といった内容です。現代に至っても廃れることなく、メアリー・ホプキンなど多くの歌手が歌っています。

 日本語詞としては、上記のほか、近藤朔風の『ほととぎす』や犬童球渓(いんどう・きゅうけい)の『秋夜懐友』があります(下記)。両方とも別れた友人を偲ぶ内容で、原詞のような恋歌ではありません。

 近藤朔風は多くの外国曲に日本語詞をつけていますが、その多くが『菩提樹』のように、原詞の内容をできるだけ生かそうとしているのが特徴です。
 ところが、この曲ではそうなっていません。それは、この日本語詞がドイツの詩人ルードヴィッヒ・ウーラントの詩にシューマンが曲をつけた『暗路
(やみじ)』として発表されたからです。それが、どういういきさつかわかりませんが、『ほととぎす』とタイトルを変え、ライトンのメロディに乗せて歌われるようになったのです。

 ほかに志村建世の『消えぬおもかげ』がありますが、詞が見つかりませんでした。タイトルからすると、原詞を生かした日本語詞のようですが。

  『ほととぎす』(近藤朔風)

1 おぐらき夜半を 独(ひと)りゆけば
  雲よりしばし 月はもれて
  ひと声いずこ 鳴くほととぎす
  見かえる瞬間(ひま)に 姿消えぬ
  夢かとばかり なおもゆけば
  またも行手(ゆくて)に 暗(やみ)はおりぬ

2 別れし友よ 今はいずこ
  今宵の月に 君を想えば
  心は虚(うつ)ろ 思い出消えず
  悩める胸に 返るは彼(か)の日
  星影たより ともに語りし
  昔の言葉 今ぞ偲ぶ


  『秋夜懐友』(犬童球渓)

1 手慣れ(たなれ)の小琴(おごと) 共にかき撫で
  澄み行く月を めでしも今は
  夢と過ぎつつ 友また遠く
  吾(われ)のみひとり 淋しき窓に
  変わらぬ月を 眺めぞあかす
  とわたる雁よ 思いを運べ

2 端居(はしい)の夕べ 手をとりかわし
  行く末までも 今宵のままと
  誓いしものを その友今は
  海山遠き かなたの里に
  なきゆく雁を いかにか聞ける
  み空の月よ 俤(おもかげ)うつせ

(二木紘三)


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